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NEX用のKIPON製マウントアダプターを購入してみた

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NEX-5/NEX-3向け、つまりEマウント向けのマウントアダプターはいまや147種類もあることは以前書きました。今も着々と数が増え続けていそうですが、それはおいおい更新するとして、低価格なEマウント向けマウントアダプターというのは大体3つに分けられます。1つ目がディスカバーフォト。2つ目が香港のRJ Camera(muk selectが販売)。もうひとつが中国のKIPONです。先日カメラ屋さんで、KIPONは中国製だけど日本製の金型を使って製造しているという話を聞いて、がぜん興味が沸いてきました。

興味が沸いたら買うのが漢!(人柱とも言う) ということで、先日、Eマウント向けヤシカ/コンタックスマウントアダプターを購入しました。とはいってもヤシコンマウントアダプターはすでに持っているので、今回はティルト機能が付いた「KIPON TILT CY-NEX」を選びました。いやー、家族に咎められないように「必要だから」みたいな雰囲気を出しながら同じレンズマウントのマウントアダプターを2つも買うなんて大冒険ですよ。哀れな末路をたどる冒険じゃないといいんですが。

ちなみにティルトとは、光軸を曲げる機構によってピントの合う位置を変えることのできる機構です。ピント位置というのは基本的にイメージセンサーと平行にあります。撮影時には、主に絞りによってピントの合う範囲(奥行き)が広くなったり狭くなったりするわけですが、ティルトは、この平行になっているピント範囲を斜めに変えられるんですね。このまま書いていくとそれだけでえらい長文になってしまうので、ティルトの事が気になって夜眠れない、という人はカメラのミツバさんのわかりやすい説明ページを参照してください。ティルトの事なんてどうでもよくて、あのコの事を考えると心臓がドキドキするという人は、それは完全に恋ですのでご自身で冷静に対処願います。KIPONはこういうキワモノ、いや、変わったマウントアダプターを多く製造しています。社内にマニアがいるんでしょうね。絶対ね。

静物を撮るプロカメラマンが必ず持っているティルト・シフトレンズといえばキヤノンのTS-Eレンズですが、このKIPONのティルト機構付きマウントアダプターでも、お遊び程度ではあるけどまあ大体似たようなことができる、というわけです。最近ではピント位置を極端に狭くしたミニチュア風の写真が、画像処理アプリやオリンパスPENの「アートフィルター」なんかにも載っていますが、これももともとはティルトレンズを使った撮り方ですね。

予想外のおまけまで付いて、満足度は256%

088今回購入したお店はKIPONの正規代理店である「焦点工房」でした。どうしてこんな「このフライパン、ネットで買ったんだけどすっごく良かったのよ、あなたもどう?」みたいな記事を書いているかというと、そりゃもう満足度が高かったからです。同じ低価格マウントアダプターの代表としてディスカバーフォトと比べて、まず化粧箱が立派。というか化粧箱がある事自体が奇跡。ディスカバーフォトのマウントアダプターは簡易包装とすら言いづらい、化粧箱なんて書いたら閻魔様に舌を抜かれるような、つまり透明のビニール袋でしたので、焦点工房から届いた化粧箱を見た時点で盛り上がり度が違います。まあハンザやフォクトレンダー(コシナ)などの高級マウントアダプターは包装からして立派なのでそれらに比べれば幾分チープですが、なんせお値段が違いますから。低価格ながら頑張っている! というところが気に入りました。

093立派な化粧箱を開けると、注文していない皮製のストラップが。あらあらまあまあ。どうやらマウントアダプターを購入するとおまけとしてストラップが付いてくるようです。また、届いたダンボールの奥のほうにはレンズリアキャップも入っていました。「NEX-5」のダブルレンズキット「NEX-5D」は、レンズが2つあるのにレンズリアキャップはひとつしかないという何を考えているのかわからない商品構成ですが(「NEX-5K」、「NEX-5A」も同様にレンズリアキャップが足りない)、マウントアダプターを買ったらリアキャップが付いてくるというのは、それはナイスとしか言いようがありません。ちなみにほぼ同じ価格帯のディスカバーフォトのマウントアダプターはストイックな商品構成なので、店頭で買ってもリアキャップは付いてきません。巷のKIPON製マウントアダプターの評判はわかりませんが、自分の中の評価は、少なくとも焦点工房の商品についてはうなぎのぼりです。

実際のマウントアダプターの出来はどうかというと、もちろん問題なく装着でき、造りもしっかりとしたもの。通常のマウントアダプターは言ってみればただの筒ですが、この「KIPON TILT CY-NEX」は、筒のボディ側に回転式の固定機構が付いており、そのすぐ前の部分が可動部分となっています。自由雲台のような機構とでもいいましょうか。これでレンズの向きを上下左右に変えられ、固定しておけるようになっています。ティルト機構の部分にはグリスがたっぷりと塗りたくられているのが見てわかりますが、ちゃんと締め付けておけばティルト機構を使わずに普通のマウントアダプターとして使う分にも心配なさそうです。

ちゃんとティルト撮影できた!(当たり前)

下が試しに撮影してみた作例。その辺に咲いていた花を撮りました。レンズはPlanar 50mmを「KIPON TILT CY-NEX」でNEX-5に装着しています。50mmのレンズなのでNEX-5に付けた際の実焦点距離は75mmとなります。左がレンズの光軸を曲げずに普通に撮影したもの。手前の花にピントが合っています。そして右の写真がティルトを使用して、手前の花とその奥にある花の両方にピントを合わせたもの。本来は手前の花の前後数センチに合焦範囲があるところを、手前から奥に向かって伸びるような感じのピント範囲に変えています。ティルトの効果は確かに出ています。

ところで、このマウントアダプターはピント位置を斜め方向に変えられるのがウリですから、ピントが広範囲に合う広角レンズだとあまりその恩恵にはあずかれません。全体にピントが合っていたらピント位置をどう動かそうと全然意味ないですしね。なのでティルト機構で遊ぶ場合には、ある程度焦点距離が長くてボケ味が大きなレンズを使うのが吉といえます。

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長々とティルト機構付きマウントアダプターについて説明してきましたが、ティルト機構が必要なければ5000円安い通常版「KIPON CY-NEX」を選ぶほうがいいのは間違いありません。「KIPON TILT CY-NEX」の価値は、5000円余分に払うとティルトで遊べますよ、というところに尽きます。マウントアダプターは基本、道楽ですから、かけるコストと遊び方を天秤にかけて釣り合いが取れていると感じた物を買うのがベストですが、初めてマウントアダプターを買う場合には、まずは通常版を選ぶほうが安心なんじゃないかなと思います。

KIPON正規代理店「焦点工房」
↑Eマウント用だけでなくマイクロフォーサーズ用のマウントアダプターも猛烈に充実しています。

KIPON製マウントアダプター 焦点工房(Amazon.co.jp)
↑こちらは焦点工房が販売しAmazon.co.jp が発送。Amazonの焦点工房は品切れになることも多いようです。

(2011.04.26)

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コメント

いつも参考にさせていただいております。参考にしすぎてCONTAX沼にはまり込んでしまいました。。
さて、KIPONのマウントアダプター(TILT無し)を介してPlanar 1.4/50とDistagon 2.8/35を使用していますが∞の位置にピントリングを合わせても無限遠が出ないんです。。∞位置のマークの1mm程度手前でピントが合います。
これはマウントアダプターのせいでしょうか?もし知見がおありでしたらご教授下さい。

投稿: KODAK | 2011.07.15 14:28

>KODAKさん
コメントありがとうございました~。
無限遠が∞マークの少し手前でしっかり合うようでしたら、それはオーバーインフだと思われます(自分のPlanar 1.4/50もKODAKさんとほぼ同じ位置で無限遠に合います)。

マウントアダプターによってはオーバーインフ気味にして精度のマージンを取っているようです。以前、記事にも書いたFlektogonを格安M42アダプターはかなり強烈なオーバーインフで描写にも支障をきたしたのですが、他のマウントアダプターについては、無限遠もピントを液晶モニターで確認できるので、問題ないレベルと考えて使用しています。ご参考になれば幸いです。

投稿: segi | 2011.07.15 16:49

アドバイスありがとうございました。
危うくフジヤカメラでハンザ製品に買い換えるところでした。。。
これもMF虎の穴と思って修行に励みます。

伊達直人

投稿: KODAK | 2011.07.16 17:27

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