NEX-5にコンタックスのツァイスレンズを<レンズ選び編 その2>
「NEXでコンタックスのツァイスレンズを使ってしまおうじゃないか」という2か月前に書いた数回にわたる記事を読み返していたら、もう少し丁寧に書いたほうが良いような部分があったので、補足を書くことにしました。
というわけで、今回はカール・ツァイスレンズの選び方の2回目です。そもそも書いた自分が忘れているので、おさらいすることにします。
現行品のカール・ツァイスレンズは、ソニーとコシナが販売しています。ソニーは自分たちが展開しているαマウント向けにプラナーやディスタゴン、ゾナー等を出しています(右写真は「Planar T* 85mm F1.4 ZA」)。コシナはサードパーティーとしてニコンFマウント、キヤノンEFマウント、あとライカMマウント互換のLMマウント向けに製品を出しています。この間までペンタックスKマウント向けもありましたが、残念ながら昨年秋に製造中止となりました。また、海外ではツァイス自身が販売している国もあるようです。
とはいえ、現行品のカール・ツァイスレンズはお高い。最新の設計、最新の部材、最新のコーティングが盛り込まれているのはよくわかるのだが、ちとお高くて手が出ない。それなら、生産終了になっているカール・ツァイスレンズを使ってみようじゃないか、そういえばコンタックス(京セラ)がツァイスレンズを山ほど出してたっけ、じゃあそれを狙おう!そうしよう! というのが↓の一連の記事のテーマです。
■ NEX-5にコンタックスのツァイスレンズを<導入編>
■ NEX-5にコンタックスのツァイスレンズを<マウントアダプター編>
■ NEX-5にコンタックスのツァイスレンズを<レンズ選び編>
■ NEX-5にコンタックスのツァイスレンズを<コンタックスGシリーズ編>
カール・ツァイスレンズ特有の略称を知る
すでに前置きが長くなってきていますが、それはいつものことです。生産中止となったコンタックスのカール・ツァイスレンズはどこで入手するかというと、オークションによる個人取引などもありますが、基本は中古カメラ屋さんになるでしょう。やはり中古カメラ屋さんによる安心感は絶大です。ああ、過信は禁物です。代表的な中古カメラ屋として中野のフジヤカメラを例に挙げますと、フジヤカメラではコンタックスのカール・ツァイスレンズについて↓のように書かれています。
↑は売却時の価格を記したリストです。DとかPとかMMとか、独特な表記が目につきますね。わかる人にはわかりますが、わからない人にはさっぱりわかりません。かといって、お店に行って「Dってディスタゴンのことですよね?」なんて聞いたらこいつ素人だと思われてナメられるんじゃないか、ナメられて足元を見られるんじゃないか、そんな気になってもおかしくありません。
実際にはお店で聞いても懇切丁寧に教えてくれますが、レンズを入手する前の下準備として知っておくにこしたことはありません。というわけで、頭文字に付いている略称をまとめます。実際には、テレ・テッサーのことを「TT」なんて言う店員さんに会ったことありませんし、そこまで浸透している略称でもないような気がしますが、たまにこういった表記に出くわしたときのために列挙しておきます。
【CONTAX カール・ツァイスレンズの略称】
H : Hologon(ホロゴン)
B : Biogon(ビオゴン)
D : Distagon(ディスタゴン)
T : Tessar(テッサー)
P : Planar(プラナー)
S : Sonnar(ゾナー)
MP : Macro-Planar(マクロ・プラナー)
SP : S-Planar(S・プラナー)
TT : Tele-Tessar(テレ・テッサー)
VS : Vario-Sonnar(バリオ・ゾナー)
F.D : Fisheye Distagon(フィッシュアイ・ディスタゴン)
PC D : PC Distagon(PCディスタゴン)
M : Mutar(ミロター)
「MM」と「AE」のちがい
頭文字のアルファベットについては上の通りで、まあ大体のお店ではちゃんとした製品名が書いてあります。いっぽう、製品名の後ろに付いている「AEG」や「MMJ」といった表記は、ほとんどのお店で明確に書いてあります。逆に書いていないお店は不親切。なぜかというと「AE」や「MM」といった表記にはレンズの機能を示す以下のような意味があるからです。
■ AE | 絞り優先AE、マニュアルモードに対応。プログラムAEとシャッタースピード優先AEは非対応 |
■ MM | 「マルチモード」の略。絞り優先、シャッタースピード優先、プログラムAE、マニュアルモードに対応 |
ちなみにこれはコンタックスのカメラボディに装着したときの話です。マウントアダプターを使って最新のミラーレス一眼カメラで使用する際は、絞りはレンズに付いている絞りリングによって操作するため、“絞り=自分で設定した値に固定” 、 “シャッタースピード=その絞りに応じて決定” となり、つまるところ絞り優先AEになります。マウントアダプターを販売しているサイトに行くとよく「マウントアダプター使用時はマニュアルモード、または絞り優先モードでご使用ください」と書かれていますが、要はそういうことです。
軽く脱線しましたが、ミラーレス一眼カメラで使う分には、レンズの「AE」や「MM」といった表記は、機能的には影響がありません。「どっちでも一緒」です。がしかし、レンズを入手するとき、もしくはレンズを手放すときには大きく影響してきます。つまり、「AE」と「MM」で中古市場価格が大きく異なる場合があるんです。
たとえばオークションで「おッ! このレンズがこんな値段なんて安い!」と思って落札してみたら、実は価格が安いほうの「AE」で、実際はそんなにお得でもなかった、ということも(半分実体験)。前述したフジヤカメラの買取金額を例にとると、
Aランク買取金額 | ABランク買取金額 | |
■ D 28/2.8 MM J | ¥ 18,000 | ¥ 17,000 |
■ D 28/2.8 AE J | ¥ 8,000 | ¥ 7,000 |
同じディスタゴン28mm F2.8でも一万円もちがうッ!!
末尾の「J」は日本製であることを示しており、「G」はドイツ(West Germany)製であることを示しています。「J」と「G」でも価格が違うこともよくあります。ツァイスのレンズなんだから「G」のほうが高くなりそうですよね。まったくそのとおりで、ドイツ製のほうが往々にして高いです。下の表のように最大で4パターンの組み合わせがあり、それぞれ市場価値が異なります(レンズによっては日本製がなかったり、AE/MMのどちらかしかなかったりするため、すべてのコンタックスのツァイスレンズが4パターンあるわけではない)。
Aランク買取金額 | ABランク買取金額 | |
■ D 35/1.4 MM G | ¥ 75,000 | ¥ 71,000 |
■ D 35/1.4 MM J | ¥ 56,000 | ¥ 54,000 |
■ D 35/1.4 AE G | ¥ 42,000 | ¥ 41,000 |
■ D 35/1.4 AE J | ¥ 32,000 | ¥ 30,000 |
以上のように、レンズ末尾の表記は大きな価格差を生みだします。ドイツ製と日本製では色乗りが違うとか、日本製になったときにレンズがちょっとだけ簡素化されているとか、噂レベルではいろいろな話がありますが、レンズ性能に極端に差があるという話は聞いたことがありません。気分的なものも多分に影響していると思います。ただ、レンズ購入後にまた売却しようと考えているなら、上のような価格差を考慮しておいたほうがよいでしょう。
「MM」と「AE」の見分け方
ちょっと得する小ネタとして、「AE」と「MM」の見分け方ですが、レンズ自体にはどこにも「AE」、「MM」といった表記はありません。それじゃあ、レンズをポンと渡されたときにどこで「AE」、「MM」を見分けるかというと、絞りリングの最小絞り値を見ます。絞りリングをみて最小絞り(F22とか)の数字が白色なら「AE」、最小絞りの数字が緑色になっていれば「MM」です。
なお、日本製とドイツ製の見分け方ですが、これは簡単です。レンズの側面に書いてあります。
(2011.05.31)
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