なぜか今このタイミングで『E-PL5』を熱く語る
新しく『DMC-GF6』が出てきたり、『PEN E-P5』のリーク情報がダダ漏れ状態だったりして、今年の春も盛り上がってきましたね! 個人的に一番“もののあはれ”を感じたのは『GR』の登場で完全にどっか行っちゃった『COOLPIX A』でしょうか。アイツはすでに伝説を残した。感動した。
さて、去年の秋冬に出たミラーレス機は『X-E1』と『NEX-5R』、『E-PL5』を使用してきて、結局我が家に残ったのは『E-PL5』でした。他にも一眼レフカメラを買ったような記憶がありますが、ひさびさにレンズ込みで1キロを超える一眼レフシステムを長時間使用したところアッという間に右腕が悲鳴を上げたため、極めて短期間のうちに我が家から去って行きました。正確に言うと卒園式前後の一週間しか我が家に存在していませんでしたね。しかしミラーレスに移行してからというもの、体の、特に腕の筋力の衰えたるやハンパありません。
『X-E1』、『NEX-5R』、『E-PL5』、これら3つのミラーレス機はいずれもよくデキた製品で、もちろん金銭的な余裕があれば手放したりしない、もう恋なんてしない、なんて言わないよ絶対なわけですが、最終的に手元にないといろいろ困っちゃうと思えたのが『E-PL5』でした。実は直前に『OM-D E-M5』を売り飛ばしており、結果的に下のグレードのモデルを買い直しただけになったことは秘密です。『E-M5』は個人的には2012年もっともよく使ったカメラで、いろんなシーンでMVP級の働きをしてくれました。なら売るなよ的な。
E-PL5は期待を裏切らないデキのよいカメラだった
『E-PL5』の最大の長所はその小さなボディサイズとAFスピード。さらに高感度性能と画質。そしてレンズラインアップ。これらのバランスが、今もっとも気持ちのよいカメラのように思います。ひとつひとつの面で比較していけばライバル機を凌駕している部分というのはむしろ少ないのですが、たとえば高感度性能はミラーレス機で言うならフジのXシリーズが一歩抜けていますし、AFはNIKON 1も相当に早く、おや、こう考えると意外とソニーNEXが強いところがありませんね。ああ、マウントアダプターを使うときの利便性はNEXシリーズのタッチパネル搭載機が一番ですね。キヤノ(以下略)。
まあそんなわけで『E-PL5』は総合的に図抜けている、そんな印象です。そうだな、力士でたとえるならば、うーむ、えーと、誰だろう。それはさておき、これらの性能を頑張ってこの大きさに詰め込みましたね、エライ!良い仕事してる!
▼“OM-D画質”はダテじゃなかった
先代『E-PL3』についてもレビューを書いた記憶がありますが、『E-PL3』から目に見えて進化したと思われるのセンサー性能。これだけで買い替える価値があるほど。個人的にはISO1600は完全に実用範囲です。マイクロフォーサーズは明るい(しかも小さい)単焦点レンズが多いので、これだけで暗所撮影性能は確保されたも同然です。
▼感動をありがとう!なAFスピード
明るいレンズは他マウントにも数々ありますが、このバカみたい(褒め言葉)に速いオートフォーカスが、明るい単焦点レンズの魅力を大きく引き出しています。最近、ちょっとした必要に駆られて『M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6』という、ふだんならまず手を出さない高倍率ズームレンズを購入したんですが、これがまーしっかり写る。そしてまたAFが超速い。この類のレンズでこんだけ写ってこんなにスパスパAFが合っちゃうの~、という驚きがありました。しかも一眼レフの同種レンズに比べて格段に小さい。14-150mmの使用頻度がそこまで高いのかというのが購入当初からの疑問で、用事が済んだら手放してしまおうと思っていた14-150mmはいまも我が家に堂々と健在しています。あと、この種のレンズは自分以外の人にカメラを渡したときに思いのほか楽しんでくれるため、家族カメラとしての用途も十二分にこなしてくれます。
▼忘れちゃいけないボディ内手ブレ補正
さらに一応、オリンパスPENシリーズの基本的な事項を書いておくと、ボディ内手ブレ補正機構もしっかり入っています。どんなレンズを付けても手ブレ補正が効くため、たとえば古めかしいレンズたちをマウントアダプターで使用しても、今月のカード支払い明細を見て鬼の形相となった家人が突然目の前に現れたとしても、その震える手から伝わるブレをしっかりと補正してくれます。
▼タッチパネルはあなどれない
親愛なる宮崎あおい嬢が最近CMで「タッチシャッター」のことを推していますが、液晶をタッチしてシャッターが切れること自体は、そうですね、そんなに興味ないので置いといて。タッチパネル液晶というのは便利なものです。
どのメーカーのカメラでもそうですが、タッチパネル採用機の一番良いところは、フォーカススポットを指で素早く指定できる、という点です。自分の場合はシャッターはシャッターボタンで切るのでフォーカスを合わせたい場所をタッチしてAFを動かすだけですが、これがいい。便利だし早いしラク。タッチパネルがないカメラだと、フォーカスエリアの選択を十字ボタン操作やボタンの連打で行なう必要があるため、そもそもフォーカスエリアを選択しようとすら思いません。漢の中央1点主義です。そんな私がフォーカスエリアを選ぶのは、ひとえに液晶画面を見ながらタッチパネルでピント位置を押す行為が便利だから。ファインダーから解き放たれると便利なことがいろいろありますが、このタッチでピント合わせもそのひとつと言えましょう。そうそう、↓でも述べますが、別にファインダーが嫌いなわけではありません。ファインダーを覗かないカメラも面白いなあ、ということです。
▼最高度に進化した「アートフィルター」
忘れてましたが、PENといえば「アートフィルター」。このステキ機能についてはココとかココにも熱く書いたので参照いただくとして、E-PL5ではさらに「アートエフェクト」がかけられたり、複数の「アートフィルター」を一回のシャッターで同時に記録できたり、「アートフィルター」使用時にもRAW同時記録ができたりと、至れり尽くせり。特にRAWで元画像をとっておけるのは最高に偉いところ。これができないカメラのほうが多いので、オリンパスのカメラの偉さが際立ちます。
▼二巡目に突入したマイクロフォーサーズレンズ
登場から3年が経っても今一つレンズが揃ってこないソニーNEXをしり目に、マイクロフォーサーズ陣営は着々とレンズラインアップを強化しています。最近ではパナソニックが14-42mmの2代目を出したり、14-140mmの新バージョン『G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH.』が(海外で)発表されたりと、マイクロフォーサーズ規格が立ち上がった2008年から2009年くらいに登場したレンズがブラッシュアップして新たに出てきています。すでに現状でもミラーレス機の中では群を抜いてレンズが豊富なマイクロフォーサーズですが、「ちょっと大きかった」とか「ちょっと暗かった」レンズが続々と改良されて登場してくるとこれはいよいよ楽しみ。特にパナソニックは単焦点レンズやF2.8通しのズームなどレンズ製造メーカーとしての評価が我が家でうなぎ昇りのため、次は『G VARIO 7-14mm/F4.0 ASPH.』のVersion 2なんかを出してくれると飛び付いてしまいそうです。パナソニックはもうボディ作らなくていいよ、とか言ってはいけません。
もちろんオリンパスからも魅力的なレンズが出ており、この2社が握手しながらもう片方の手で殴り合いをする姿勢を崩さなければ今後もこの勢いでレンズが増えていくことでしょう。マイクロフォーサーズのカメラを手放してはまた購入する、ということをここ3年くらい繰り返していますが、それもやはりレンズラインアップの魅力があるから。
サイズ、それは大きさのこと
『E-PL5』の重要な要素、それがボディサイズ。せっかくミラーレス機を使うというのに、中途半端に大きいのでは興ざめです。おっと『X Pro1』のことを悪く言うのはそこまでだ。いやでもホント、レンズを含めて小さいということは、それだけで出かけるときに持っていこうかという気にさせる→結果的に撮影枚数が増える、という好循環を生み出すので重要な部分と言えましょう。
じゃあ『E-PL5』と『E-M5』と比較したらどうか?というと、私にとっては『E-M5』は頭の三角(以下、アレ)がジャマで、高さ方向に出っ張るあのアレがちょっとアレです。『E-M5』のアレが引っかかってカバンから取り出しづらかったり、お気に入りの小さなバッグにアレがかさばって収まりきらなかったりしていくうちに、アレを頭に備える『E-M5』を持ち出す頻度がだんだん減っていくということがあったため、『E-PL5』の極小&スッキリフォルムはそれだけで魅力です。
もちろん「ファインダーがないとカメラじゃないぜ」という感覚もあり、ファインダーの付いたカメラから『E-PL5』に持ち替えたときに思わず存在しないファインダーを覗こうとしてああ間違えたと声に出してしまい周囲の人間が困惑、というコンボを決めることの多い私ですので、EVFの使用頻度が高い人であれば『E-M5』のアレは欠かせないでしょう。結果的に「このカメラには別にEVFなくていいかな、液晶も上向くし」という結論に至ったわけです。ただ『E-M5』を手放したことで鬼のような手ブレ補正が手元から去っていったのは残念。
ここまで書いて思いましたが、EVFが付かず、液晶は上下に動き、鬼の5軸手ブレ補正を搭載しそうなのが噂の『E-P5』ですね。ダイヤルもあってとても良さそう。あとは『E-PL5』との価格差ですが、『E-P3』は実勢価格が長いこと高どまりしていたので、あんまり安くなってくれそうにないですねえ。逆に『E-PL5』はこれからさらに安くなりそうなので、うん、やっぱり最後は価格ですね。
身内にいたライバル、しかし
『E-PL5』の本命ライバルは、画質的には同性能とオリンパス自らが言っちゃっている下位機PEN miniこと『E-PM2』です。つまりセンサーや画像処理エンジンが『E-PL5』と『E-PM2』は一緒で、液晶が上下可動式か固定式か、モードダイヤルがあるかないか、グリップが着脱式になっているかいないか、というのが主な相違点です。あとは本体サイズ、特に厚みですね。チルト液晶を搭載している『E-PL5』は少し厚めです。そして価格差は1万円前後。むう、『E-PM2』はそんなに安いのか。それは悩ましい。しかし今回は『E-PL5』のレビューであり、そもそも『E-PL5』を購入しているわけなので、ここは1万円の価格差を埋めるだけの『E-PL5』の魅力について訴求していきたい。そうだそうしよう。
『E-PL5』の上下可動式の液晶モニターについては、使わない人はまったく使わないんじゃないかとも思いますが、ウエストレベルに構えて子ども目線で撮る際には欠かすことができないもの。富士のXマウント機でもしチルト液晶を搭載したカメラが出たら迷わず購入したい、それくらい便利な機構です。なお『E-PL5』で子どもを撮るときには、液晶モニターを被写体側に向けてしまって子どもが驚く姿を撮る、というアクロバティックな撮影方法も有効です。何回か実践しましたが100%ナイス表情が撮れます。その際は、9-18mmのような超広角レンズを使うと確実です。
グリップがネジで簡単に着脱可能になっているのも、一見どうでもいいように見えて実は重要なポイント。前々から思っていましたが、PENシリーズは爪を伸ばした女子でも持てるようにという配慮なのかグリップ部が極めて控えめな凸になっており、カメラを「つまむ」ように握るのがデフォルトです。しかし爪をそんなに伸ばしているわけではなく、そもそも女子ですらない私にとってはそんな配慮は無用なもの。ああ、なんてかわいそうなカメラおじさん! しかし『E-PL5』では“しっかりグリップしたい族”に向けても救済策が用意されています。別売の大型グリップ『MCG-2』を標準グリップと付け替えるだけでグリップ感はアップ。とはいえ『MCG-2』はそんなに大型ではなく、もっと巨大な超大型グリップが出たらそっちを買ってもよい、くらいのもの。欲を言えば『E-M5』のたいへんお高いグリップ『HLD-6』のグリップ感が理想的なんですけど。しかし『MCG-2』があるとないとでは握ったときの印象がかなり変わります。
しかし機種固有のアクセサリーというのは、高価になればなるほど忠誠心を試される踏み絵のようなものですね。『E-M5』のお高いグリップ『HLD-6』を購入して「はいサンマンエーン」とか言われてしまうと、寝ている間もなんだか胸のあたりがグーッと締め付けられるような気がしておかしいなと思ってハッと起きたら寝像の悪い息子のかかと落としが自分の上腹部に炸裂しているなど、思いもかけないような出来事が起こるものです。そうしたことを考えれば『MCG-2』は価格も実売で3000円弱とお手ごろ。良心的。とても『HLD-6』を販売している同じ会社とは思えません。
欠点を挙げつらうならば
ここまで褒め称えてきましたが、もちろん不満点もいくつかあります。不満というか要望というか。
▼撮影後、画像の拡大表示ができない
たとえばNEXシリーズだと、撮影後の画像再生時にワンボタンで拡大表示が可能で、ピントを確認したいときにとても重宝するのですが、残念ながら『E-PL5』ではそれができません。
撮ったあとに「あれ、今撮った写真、ちゃんとピント合ってたかな?」と思ったら、まず背面から見て左上にある再生ボタンを押し、次に背面から見て右上にある拡大表示ボタンを押してようやく拡大表示ができます。しかも撮影後の画像再生時に再生ボタンを押してもすぐに再生モードには入らないため、いったん画像撮影時間が経過するのを待ってから再生ボタン⇒拡大ボタンを押す、という操作となるため、「すぐ拡大したい! そう、今すぐにだ!」という時にはなかなかのストレスです(※追記:メニューの「撮影確認」で「AUTO▷」を選んでおけば、レビュー表示後そのまま再生モードに入ります。ただ、再生モードに入るまでに少し間があるので、撮ってすぐに画像拡大とはいかず)。撮影後のレビュー表示時に、背面ダイヤルの中央にあるOKボタン一発でピント位置を拡大表示してくれたりしたら、さらに快適度は増すんですが。
▼高感度撮影時のノイズ低減処理が、なんかモヤッとする
上のほうで「ISO1600は完全に実用範囲内」と書きましたが、うん、実用範囲内ではあるんですが、カメラのデフォルト設定である「高感度ノイズ低減:標準」で撮影すると、特に輪郭部分などに、微妙なモヤモヤ感が発生します。これは『E-PL5』の問題というより、オリンパスのミラーレス機に共通した話です。なんかこの処理、あんま好きじゃない。
試しにJPEGで出てきたもの(高感度ノイズ低減:標準)と、同じ画像のRAWデータをAdobeのLightroom4で現像(ノイズ軽減処理あり)したものとを比べてみると↓な感じになります。
等倍で切り出したものですが、結構差がありますよね。特にエッジの部分。もう少しなんとかならないのかなあ。オリンパスのカメラは結構長いことモヤッとした感じなので、ここは一回書いておこう。
なお、画像に解像感を求めるのなら「高感度ノイズ低減」は弱、もしくは切にしたほうが間違いないですが、そうすると「いやそこは解像感とか関係ない部分だからフツーにノイズ処理してくれてよかったんだけど」という部分にまでノイズが乗ってくる、というか画面内で均一にノイズリダクション処理が弱まるため、それならハナからRAWで現像する前提で撮るからいいよという話になり、結果としてJPEGで記録する意味ないじゃんとなってしまいます。
私は困った時(あからさまに露出を失敗していたり色が意図と異なっていたりカメラがやんちゃした時など)にはRAW現像するけどフツーに綺麗に撮れてたらJPEGでいい、というスタンスなので、画像処理エンジン「TruePic Ⅵ」にはもう少し頑張って欲しいと思ったりするわけです。
▼ダイヤルが背面のほかにもう1個欲しい
回転系のインターフェースが背面にあるダイヤル1個のため、絞りと露出補正を連続して行なおうとするとちょっと面倒。まあ、そんな操作をするヤツは素直に『E-P5』を買え、という話ですね。
まとめ
実に良いカメラ。英語で言うならOutstanding。
(2013.05.02)
| 固定リンク
「 ミラーレス一眼の記事」カテゴリの記事
- 全20X種類! Eマウント(α、NEXシリーズ)用マウントアダプターの一覧表(2011.04.12)
- 『X-M1』を六本木のフジフイルムスクエアで触る(2013.07.05)
- なぜか今このタイミングで『E-PL5』を熱く語る(2013.05.02)
- NEX-5R、NEX-6、Eマウントレンズがやっと日本発表(2012.11.05)
- 『NEX-5R』の米国モデルを購入してみた その2(2012.10.29)
「E-PL5」カテゴリの記事
- なぜか今このタイミングで『E-PL5』を熱く語る(2013.05.02)


この記事へのコメントは終了しました。
コメント